2023年度 第33回青山音楽賞受賞者は下記の通りです。
新人賞(2名)
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太田 糸音(おおた しおん)
受賞公演:「太田糸音 ピアノリサイタル」 2023年12月10日(日)開催
【評価】バッハへの憧憬と敬意が詰まったリサイタル。寸分の隙もない技術と表現力で観客を圧倒し、作品の魅力を余すことなく伝えた。
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仙台国際音楽コンクールピアノ部門第3位をはじめ、コインブラ・ワールド・ピアノ・ミーティング、シドニー国際ピアノコンクール、全日本学生音楽コンクール、ピティナ・ピアノコンペティション、浜松国際ピアノアカデミーコンクール、 松方ホール音楽賞等にて多数優勝・入賞。
ソリストとしてベルリン・ドイツ交響楽団、ポルトガル・フィルハーモニー管弦楽団、北チェコフィルハーモニー管弦楽団等と、またベルリン・フィルハーモニー管弦楽団奏者との室内楽での共演など、国内外で活躍を広げている。NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」「リサイタル・パッシオ」ABCテレビ「キャスト」特集等、メディア出演も果たす。
2000年生まれ、大阪府出身。東京音楽大学を飛び入学、20歳で特別特待奨学生として早期卒業。2017年度公益財団法人青山音楽財団奨学生。名古屋芸術大学大学院を経てベルリン芸術大学に在学し、横山幸雄、ビョルン・レーマン、高橋礼恵の各氏に師事。
ホームページ https://www.shion-ota.com
戸澤 采紀(とざわ さき)
受賞公演:「戸澤 采紀 ヴァイオリンリサイタル」 2023年12月21日(木)開催
【評価】真摯に作品と対峙し確固たる自身の音楽世界を創出する。鋭い感性と構築力、艶やかな音色による圧巻の演奏で観客を魅了した。
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第85回日本音楽コンクール最年少優勝、ティボール・ヴァルガ国際ヴァイオリンコンクール第2位(最高位)、ポセール財団コンクール第1位、インディアナポリス国際ヴァイオリンコンクールセミファイナリスト。これまでにヴァイオリンを玉井菜採、ジェラール・プーレ、保井頌子、ドンスク・カン、堀正文の各氏に、室内楽を原田幸一郎氏に師事。さらにマスタークラスにて、レオニダス・カヴァコス氏、ヴァディム・レーピン氏、アナ・チュマチェンコ氏らに薫陶を受ける。クフモ室内音楽祭オレグ・カガンメモリアルファンドスカラシップ受賞。江副記念リクルート財団第48回奨学生。2019年度東京藝術大学宗次德二特待奨学生。2021年度青山音楽財団奨学生。2023年度RMF奨学生。2022年1月にデビュー盤「戸澤采紀 IN CONCERT 」が発売され、レコード芸術にて特選盤を受賞。これまでにローザンヌ室内管弦楽団、リューベックフィルハーモニー管弦楽団、NHK交響楽団、読売日本交響楽団、東京都交響楽団、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団など国内外のオーケストラと共演。使用楽器は、文京楽器の協力によりBeare’s International Violin Societyから貸与されているMatteo Goffriller。2019年東京藝術大学に入学後、2021年秋に渡独。現在リューベック音楽大学でダニエル・ゼペック氏に師事。
青山賞(2名)
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該当者なし
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バロックザール賞(2組)
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ディルク・アルトマン(クラリネット)&岡本 麻子(ピアノ)
受賞公演:「TRAUMGEKRÖNT ~夢を戴きて~ ピアノとクラリネットによるドイツ浪漫名曲の旅」
2023年3月18日(土)開催
【評価】 いつまでも聴いていたいと思うような音楽の悦びに満ちたクラリネットと、それを引き立てる様にドラマを牽引する華麗なピアノで、豊かな表現の世界を繰り広げた。
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ディルク・アルトマン(Dirk Altmann)
ハノーバーに生まれ、ヘルムート・パルシェック教授に師事。1985年よりSWR交響楽団首席クラリネット奏者。17歳の若さでヘルベルト・フォン・カラヤン財団に入団し、ベルリン・フィルのソロ奏者の中では最年少であった。カラヤン、チェリビダッケ、クライバー、プレートル、サー・ノリントンなどの世界的に著名な指揮者と協演経験も持つ。2013年に結成された「ルートヴィヒチェンバープレイヤーズ」(LCP)の主要メンバー。編曲者としても活動し、プロコフィエフ作曲「束の間の幻影」の編曲が2017年に国際クラシック音楽賞(ICMA)にノミネートされた。これまでにソロ、室内楽のCDを5枚リリース。また、フェラーラ、ザルツブルク、ラインガウ音楽祭などの国際音楽祭へ招待され演奏する。後進の指導にも意欲的に取り組んでおり、カールスルーエ音楽大学での指導、定期的に中国、日本などアジア各地でもマスタークラスの講義を行っている。日本のヨーゼフ(JOSEF)社製の楽器を奏で、その専門における最も多才な奏者の一人である。
岡本 麻子(おかもと まこ)
桐朋女子高等学校ピアノ科卒業後、渡独。フライブルグ州立音楽大学、同大学院、ケルン音楽大学演奏家資格を最優秀で修了。
これまでに、エピナール(第1位)、ケルン・ショパン(第1位)、ロン・ティボー(第6位)、エリザベート王妃(ファイナリスト)等の国際コンクールで受賞。パリにてメシアン国際ピアノコンクール第3位。ガラコンサートにて、ピエール・ブーレーズ指揮、アンサンブル・アンテルコンタンポランとメシアン作曲「異国の鳥たち」を共演し大絶賛される。これまでに、仙台フィル、日本フィル、大阪フィル、大阪交響楽団、読売日本交響楽団、東京交響楽団、韓国・仁川フィル、ベルギー国立管弦楽団、フランス国立放送管弦楽団等のオーケストラと共演。日本、ヨーロッパ各地の様々な音楽祭に招待され、国内外でソロリサイタルや室内楽の演奏会を行う他、テレビ、ラジオにも出演している。これまでに6枚のCDをリリース。現在は演奏活動の他、京都市立芸術大学非常勤講師、大阪教育大学芸術表現専攻(音楽)准教授として後進の指導も行っている。
TRIO VENTUS(トリオ・ヴェントゥス)
受賞公演:「TRIO VENTUS RECITAL 見知らぬ情景」 2023年12月16日(土)開催
【評価】凛とした風格のある演奏で、三人の音の美しさが絶妙に溶け合っていく。互いに触発し合う躍動感に満ちた音楽は新しい息吹を感じさせた。
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TRIO VENTUS
2019年にベルリンで学び活動する音楽家により結成、2020年東京文化会館にてデビューリサイタルを開催。サントリーホール、HAKUJU HALL、ザ・フェニックスホール等、著名なコンサートホールで演奏を重ね、2022、23年に東京・大阪・宮崎の三都市を巡るツアーを開催。いずれの公演も絶賛を博す。クラシカルなレパートリーに加え、 21世紀に作曲された音楽を含む新しい時代の曲目にも光を当ててきた。22年リサイタルツアー東京公演では日本を代表する作曲家、鈴木輝昭氏に新曲を委嘱しピアノ三重奏曲第2番を初演。また、同時代の作曲家6人が気鋭の演奏家とコラボレーションし新作発表を行う邦人室内楽シリーズPoint de Vueのvol.16に出演し、一夜で6作品を世界初演。大きな反響を呼ぶ。録音では「Schubert & Shostakovich 」等がリリースされており、レコード芸術で準特選に選出されるなど高い評価を得ている。VENTUSはラテン語で「風」の意。
廣瀬 心香(ひろせ みか)/ヴァイオリン
桐朋女子高等学校を経て、桐朋学園大学を首席卒業。ベルリン芸術大学にて学士課程、修士課程を共に最高位で修了。ドイツ・イエナフィルハーモニー、九州交響楽団など国内外のオーケストラと共演、東京文化会館をはじめ各地でソロリサイタルを開催。 桐朋学園大学卒業時には皇居の桃華楽堂にて御前演奏の機会を与えられた。ドイツではオーケストラ奏者としての活動も行い、ハノーファー国立管弦楽団フォアシュピーラー(次席奏者)を務めた。現在はソリスト、室内楽奏者として活動し、ソロリサイタルやTRIO VENTUSのほか、弦楽四重奏団 「Eureka Quartet」ではベートーヴェン弦楽四重奏曲全曲演奏会を行うなど様々な活動を展開している。
鈴木 皓矢(すずき こうや)/チェロ
桐朋学園大学チェロ科首席卒業。バルセロナのリセウ音楽院にてルイス・クラレット氏のもとで研鑽を積み、その後渡独。ハンス・アイスラー音楽大学ベルリン修士課程を修了。小澤征爾音楽塾オーケストラプロジェクトIに参加。第10回ラス・コルツ国際コンクール器楽部門第4位入賞。日本チェロ協会主催「第9回チェロの日」にソリストとして出演。また国内外の作品の初演にも多く携わっており、作曲家からの信頼も厚い。オーケストラ奏者としても各地のオーケストラに首席奏者として客演している他、弦楽四重奏団「Eureka Quartet」、クラシックギターとチェロの「DUO CHISPA」としても積極的な活動を展開中。
石川 武蔵(いしかわ むさし)/ピアノ
桐朋女子高等学校音楽科(男女共学)卒業後、フランス・パリ国立高等音楽院にて学ぶ。2011年ピアノ科修士課程を首席修了ならびにブリュートナー賞受賞、2012年同音楽院室内楽科修了。その後スコラ・カントルム(パリ) にて学び、2014年ピアノ科研究課程ディプロム取得。2008年から4年間ローム・ミュージックファンデーション奨学生。2015年ABC新人音楽賞。2018年テレザ・ヤクーナ国際ピアノコンクール第3位。2020年市川市文化振興財団第4回即興オーディション優秀賞。2022年よりTRIO VENTUSのピアニストを務める。演奏会企画にも積極
的に取り組み、近年は様々な作曲家に焦点を当てる室内楽演奏会シリーズ「Portrait(ポートレート)」を展開し好評を博している。