2024年《第34回》青山賞:中嶋 俊晴

中嶋 俊晴
なかじま としはる
/ カウンターテナー
令和4年度文化庁芸術祭賞新人賞、令和2年度五島記念文化賞オペラ新人賞などをカウンターテナーとしてはじめて受賞するなど、現在最も注目されるカウンターテナー歌手の一人。
京都市立芸術大学音楽学部声楽専攻卒業、東京藝術大学大学院修士課程修了。ウィーン国立音楽大学大学院リート・オラトリオ専修およびアムステルダム音楽院修士課程バロック声楽専攻を共に満場一致の最優秀栄誉賞付きにて修了。
ソリストとして、J.van Veldhoven、E.L. Banzo、A.van der Spoel、C. Meierら欧州を代表する音楽家と度々共演を重ねている。ウィーン・シューベルティアーデ、ユトレヒト古楽音楽祭、プラハの春音楽祭等欧州各地の音楽祭に招聘されるなど国際的に活躍の場を広めている。2019年にはスペインを代表する古楽アンサンブルAl Ayre Españolの公演にソリストとして招聘されスペイン10都市で公演を行い、現地新聞評などにおいて絶賛された。
また日本音楽コンクール、ブラームス国際コンクール(ペルチャッハ)、国際ペティレック現代歌曲コンクール(ウィーン)、友愛ドイツ歌曲コンクール等で入選入賞を果たし歌曲の分野でも高く評価されている。
近年は作曲家・ジャズピアニストである谷川賢作氏との朗読と歌のコンサートを全国各地で展開し、詩と音楽の関わりに焦点を当てたプログラムは注目を集める。
これまでに宗教曲の分野ではヘンデル《メサイア》をはじめ、J.S. バッハ《ヨハネ受難曲》《マタイ受難曲》《ロ短調ミサ曲》《マニフィカート》《クリスマスオラトリオ》他、モンテヴェルディ《聖母マリアの夕べの祈り》、ぺルゴレージ《スターバト・マーテル》、モーツァルト《レクイエム》等でアルトソロを務める。オペラではヘンデル《タメルラーノ》タイトルロール、《ジュリアス・シーザー》トロメーオ、《リナルド》ゴッフレード、モンテヴェルディ《ポッペアの戴冠》オットーネ、アルナルタ、パーセル《真夏の夜の夢》モプサ等を演じ、卓越した演技力により演出家からの信頼も厚い。また新作初演や現代音楽の演奏にも多数携わり、平野一郎作曲のオペラ《あの町は今日もお祭り》では重要な役を的確に演じ切り、上演の成功に貢献した。東京藝術大学主催公演「クセナキス、音の建築Vol.2」では難曲として知られる《Kassandra カッサンドラ》を打楽器奏者の藤本隆氏と演奏し、バリトンからカウンターテナーの広い声域を自在に操る技術と圧倒的な表現力が音楽誌上でも絶賛され話題となった。
これまでに三井ツヤ子、野々下由香里、故G. レヒナー、C. スペンサー、D. ルッツ、X. マイヤー、M. ホーニヒの各氏に師事。
文化庁芸術祭賞新人賞の他、五島記念文化賞オペラ新人賞、京都市芸術新人賞、松方音楽賞奨励賞、京都芸術文化特別奨励賞、平和堂財団芸術奨励賞、滋賀県次世代文化賞など様々な賞を受賞。平和堂財団海外留学奨学生、野村財団海外留学助成者、公益財団法人ロームミュージックファンデーション奨学生、文化庁新進芸術家海外研修員としてウィーン、アムステルダム、ロンドンで研鑽を積んだ。桜美林大学声楽専修非常勤講師。
※プロフィールは受賞当時のものです